日本だけに資産を置くと何が起きるか
まず前提として、日本は少子高齢化がかなり進んでいて、人口はすでに減少フェーズに入っています。人口が減るとどうなるかというと、
- 国内で物やサービスを買う人が減る
- 企業の成長スピードが落ちる
- 不動産も場所によっては需要が細る
- 税や社会保障の負担は重くなりやすい
という「じわっと重くなる」方向に進みやすいです。
これ自体は今すぐどうこうという話じゃないですが、“日本国内だけ”で資産を持っていると、このトレンドに全部つき合わされることになります。
経済成長のエンジンがどこにあるか
次に「今後、世界のどこに成長があるのか?」を考えると、いまだにアメリカは大きなエンジンを持っています。
理由は前に書いたとおりで、
- 人とお金が集まる仕組みがある
- 新しい産業が生まれやすい
- ドルが基軸通貨である
- 市場規模が大きい
という、成長しやすい条件をいくつも持っているからです。
つまり「世界の成長の中心が自国にある国」と「成長がこれから縮む国」で、投資リターンに差が出るのはある意味自然です。
だからこそ、日本人にとっては「自国の成長にだけ乗る」のではなく、「世界の成長にもちょっと乗る」という発想が必要になります。その“世界側の代表”にアメリカを使う、というだけの話です。
通貨を日本円だけにするリスク
もう一つ、日本人が見落としがちなのが“通貨の集中リスク”です。
日本で給料をもらい、日本の銀行に円で預け、日本の保険に入り、日本の不動産を持つ——これってものすごく円に寄っています。もし円が弱くなったとき、手持ちの資産価値が目減りするのをそのまま受けることになります。
一方で、米国株・米国不動産・米ドル建て資産を一部でも持っておくと、円安になったときにそっちがクッションになります。
「増やすために米国」だけじゃなくて、「円に全部乗ってる状態をほぐすために米国」という見方ができるんです。
分散って「数を増やす」ことじゃない
資産分散というと「いろんな商品を買えばいいんでしょ?」と思われるんですが、実は大事なのは“別の経済に乗る”ことです。日本株と日本不動産を両方持っても、バックにある経済が同じなら、同じ向きの風を受けます。
- 経済構造が違う国
- 通貨が違う国
- 人口トレンドが違う国
に資産を少しでも置くと、同じタイミングで全部が下がる可能性を下げられます。アメリカは日本とこの3つが全部ズレているので、分散先としては扱いやすいんです。
成長 × 分散」が同時にできるのが米国
ご指定の2つの観点に重ねると、米国投資はこう整理できます。
- 経済成長の取り込み
日本より成長エンジンが強い国に一部を置くことで、国内だけでは取りきれない成長をキャッチできる。 - 資産分散(通貨・地域・産業)
円・日本・日本企業に偏ったポートフォリオを、ドル・米国・グローバル企業側にも割ることで、どちらか一方が不調でも全体が崩れにくくなる。
この2つを同時にできるので、米国がいつも選択肢に上がる、というわけです。
「全部アメリカにしろ」ではない
注意しておきたいのは、これは「日本はもう終わりだから全部アメリカに逃げろ」という話ではないことです。生活も支出も日本なので、日本円・日本の資産はもちろん必要です。
ただ、“全部日本”のままにしておくと、人口減・円安・国内成長の鈍さをそのままかぶることになるので、そこを和らげるために米国を混ぜる、という考え方です。
たとえば、
- ベース:日本円・日本の生活防衛資金
- 成長枠:米国株(インデックスでもOK)
- 安定+外貨枠:米国不動産やドル建て資産
みたいにレイヤーを分けると、「増やす」「守る」「通貨分散する」がそれぞれ整理されます。
時間を味方にするならなおさら
もうひとつ言うと、長期で見たときに“成長している国に資産を置いていた期間が長いほど”資産形成は有利になります。
日本の成長がやや落ち着き、アメリカや世界の一部がまだ伸びている今の段階で、少しでも資産の一部をそちら側に動かしておくと、後から「どうせ動かすなら早くやればよかった」となりにくいです。
まとめ
- 日本は成熟していて住みやすいが、人口減少・成長鈍化という構造的な重さがある。
- 資産も収入もすべて日本に寄せると、その構造の影響を100%受けてしまう。
- 一方でアメリカは、成長エンジン・人口の受け皿・ドルという通貨の強さがあるため、成長と分散を同時に実現しやすい。
- だから日本人にとっての米国投資は、「儲け話」ではなく「日本に集中しすぎたリスクをほぐすための実務的な選択」として意味がある。
- ポイントは“全部アメリカ”ではなく、“日本をベースにしつつ一部を米国側に振る”こと。これで経済成長の取り込みと資産分散の2つがバランスよくできます。



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